タントLA600Sのエアバッグ警告灯の修理の記事です。
この記事はこんな方におすすめ。
- エアバッグの警告灯がついた
- エアバッグECUを交換したが直らない
- エアバッグの配線図がほしい
配線図までは公開出来ませんが、概要は説明します。
はじめに
エアバッグの警告灯点灯で入庫のタントLA600S。
そもそもエアバッグのランプなんて見たことないレベル?

これです。見たことないってことはないはず。
エンジン始動時に数秒間点灯し、エアバッグシステムが正常ならすぐ消えます。
外部リンク→エアバッグ警告灯が点滅(点灯)・消えない時の対処方法
今回は警告灯がつきっぱなしでした。
診断器でダイアグをチェックしてみると、
B1803 D席前突点火系回路電源ショート

んー。見たことないっす。何だこれ。
試しに、ダイアグリセットしてみたものの、消えない…。
原因追求
修理書を引っ張り出して回路図を確認。
疑わしいのはこの4つ。
- エアバッグECU
- 車両ハーネス
- スパイラルケーブル
- エアバッグインフレータ
インフレータは、ハンドルについている火薬入り風船。
スパイラルケーブルは、ハンドル回しても配線が切れないようになってる部品です。
電気の流れをざっくり書くと、
①衝突による衝撃による信号が、衝撃センサからECU に入る。
②ECUから、車両ハーネス→スパイラルケーブルを通り、
③スパイラルケーブルからインフレータに電源が流れ、エアバッグが作動する。
こんな感じ。
ひとつひとつ診断していきたいけど、
インフレータは、うっかりミスで暴発するとまずいので、最後。
コネクタの取付確認
各コネクタの取付確認から。
コネクタを抜き差しする際は、バッテリアースはずして、90秒以上待ってから。
これを忘れると暴発の危険アリ。初心者は絶対真似しないでください。
はずしたら、コネクタの中身も要確認。
変な焦げ跡や濡れ、溶損などがないか確認。
エアバッグECUと車両ハーネスのコネクタ↓。
エアバッグECUは、運転席と助手席の間の足元にあります。

続いてコラムカバーはずしていく。こちらのスクリュ3本はずす。

車両ハーネス と スパイラルケーブルの間のコネクタ↓
場所はコラムカバー内。

写真、少しボケてますね…一応問題なし。
ちなみに。車両ハーネス と スパイラルケーブルは、両方とも
コネクタをはずすと、閉回路になるショートコネクタがついている。
簡単に言うと、コネクタをはずしている状態だと、隣同士の配線が短絡する。
これ、知っておかないと誤診断につながる。
自分もコレのせいで、迷走しました…
電圧確認 ①インフレータ部コネクタ
コネクタは問題ないとして。
次はインフレータまでの電圧点検。
インフレータ取外し
バッテリをはずしたまま、インフレータをはずすんだけど、
個人的には先に ECUコネクタ と スパイラルケーブルコネクタ の両方を
はずしておくのがオススメ。暴発、恐いんです。
ハンドル下側に穴があり、
そこからマイナスなどを突っ込んで留め具の針金を、押しはずす。
穴からの写真はうまく撮れなかったので、はずした後の写真がこちら。
写真青矢印からマイナスを突っ込んで、青◯の針金を押すと、
下の紫●にハマっている留め具がはずれる。

残る上側左右のボッチ紫●は、同様にマイナスを突っ込む穴がない。
インフレータを下に引っ張りながら、はずす感じ。
知らずにやったので苦労したけど、知ってさえいればなんてことないと思う。
写真を見てもわかるように、上側左右の針金は下に押すとはずれる仕組み。
インフレータがはずれたら、配線2つも抜いておく。
インフレータの保管は、エンブレムを上向きに置いておく。
暴発した際の被害を最小限に抑える目的です。
インフレータ電圧点検
エアバッグの配線は青◯。
紫◯はホーンハーネス。どちら側でもはずれる。

見たいのは青◯の2つの端子の電圧。
端子が小さいので、クリップなどを流用。
測定時は ECUコネクタ と スパイラルケーブルコネクタ は繋いでおく。
バッテリを繋いで、電源ON状態で、下記を測定。
(1)スパイラルケーブルインフレータ側赤線 〜 ボデーアース
(2)スパイラルケーブルインフレータ側黒線 〜 ボデーアース
基準値は1V以下。
測定値は(1)が1.4V、(2)が1.1V。うーん、両方ギリギリアウトなのでNGですね。
OKならECUの点検に入るんですが、NGなので引き続き配線の確認へ。
ちなみに
上記OKの場合は、スパイラルの赤線黒線を短絡して、
ダイアグを消去してから、再度ダイアグを確認して。
ダイアグが再度出たら、ECU 不良と診断されます。
再度ダイアグが出ない場合は、短絡を解除して、
インフレータと、コネクタ全て組み付けて、ダイアグを再確認。
これでダイアグがまた出たら、インフレータ不良と診断されます。
繰り返しますが、コネクタの脱着時には、かならずバッテリマイナスをはずしてください。
電圧点検 ②車両ハーネス スパイラルケーブル側コネクタ
続いてスパイラルケーブルを除いた、車両ハーネスまでの点検。
再び、バッテリマイナスはずして、ECUコネクタだけつないでおく。
スパイラルケーブルの、インフレータ側と車両ハーネス側は両方はずしておく。
車両ハーネス側コネクタは、留め具がスライドする作りになってます。

で、今度は車両ハーネスのスパイラルケーブル側の点検。
測定するときは、バッテリをつないで電源ON。
点検するのはこの2ヶ所の電圧。
(1)車両ハーネス黄線 〜 ボデーアース
(2 )車両ハーネス黄黒線 〜 ボデーアース
基準値はまた1V以下。
測定結果は問題ないですね。
次に行きます。
ちなみにここNG だと車両ハーネス不良になります…
電圧点検 ③スパイラルケーブル内
スパイラルケーブル単体の電圧点検をしていきます。
さっきと同じ状態ですが一応再確認。
バッテリマイナスをはずして、スパイラルケーブルの、
車両ハーネス側とインフレータ側と、両方のコネクタをはずした状態にします。
つまりスパイラルケーブルに刺さっているのは、この黒いコネクタのみ。

バッテリマイナスはつないで電源はONの状態で、次を点検。
(1)スパイラルケーブルインフレータ側赤線 〜 ボデーアース
(2)スパイラルケーブルインフレータ側黒線 〜 ボデーアース
またまた基準値は1V以下。
測定結果は両方とも10V超え。NGですね。
つまりスパイラルケーブルの不良です。長かった…。
ちなみに…ここOKだと振り出しに戻ります。
再現が出来ないと判断されますね。
スパイラルケーブル交換
診断結果をうけて、スパイラルケーブルを交換していきます。
インフレータはずれてるから楽勝かなー。
スパイラルケーブルのコネクタすべてはずして。
ステアリングのセッターナットはずします。
ナットはずしたら位置合わせのマーキングをしておくと後が楽です。

一コマでもズレると、車がまっすぐ走りません。
またインフレータばらすのイヤなので確実に。
マーキングしたら、センターナットを軽く取り付けて、ハンドルをします。
結構しっかりついているので、ナットなしだとはずれたときの弾みが恐いです。
センターナットをしておくと、安心して力が入れられます。
ハンドルがはずれたら、スパイラルケーブル交換へ。
コネクタがはずれていれば、あとはツメ3か所で取り付けられているだけ。

で新品を同様に取付。
取り付けたら、廻り止めのピンを折ってはずします。
あとは元通り復元していく。
まとめ
長々と書きましたが。
- エアバッグ警告灯は車検不適合
- 不具合箇所により費用は変わる
- スパイラルケーブル取替は3万程度
今回はスパイラルケーブル不良によるチェックランプ点灯。
エアバッグチェックランプ点灯は、ECU不良が多いみたいですが。
こんなパターンもあるみたいですね。
誤診しなくてよかった…。
ゆ
スパイラルケーブル不良の不具合だと、チェックランプ以外にも
ホーンが鳴らないなんてのもありますね。
セレナやキューブやなんかで。
それ言ったら今回の修理も見たことないですが。
何にせよ、バッテリをはずしたり繋いだり、
コネクタをつないだりはずしたり。
ショートコネクタなんてものがあったり。
誤診要素が盛り沢山。
この記事が誰かの役に立つといいなぁ。
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